2016年12月11日日曜日

セカンドライフ公式ビュアー バージョン 5.0.0 が公開されました

2016 年 12 月 6 日、セカンドライフ公式ビュアー バージョン  5.0.0 (321958) が公開されました。

セカンドライフ公式サイトのダウンロードページからダウンロード出来ます。

Downloads | Second Life

今回のバージョンでは、Project Bento Viewer の内容が公式ビュアーに取り込まれました。

Release Notes/Second Life Release/5.0.0.321958 - Second Life Wiki


“Project Bento”は、アバターのスケルトン(骨格)を拡張するプロジェクトです。

Project Bento Live on the Grid! - secondlife

Enhanced Skeleton (Project Bento) - Second Life



セカンドライフのアバターは、下記のように進化してきました。

2011 年 4 月Avatar Physics胸やお尻を揺らす機能
2011 年 7 月Rigged Mesh身体に沿って衣装を着ることが出来る機能
2012 年 6 月Server Side Appearance衣類のテクスチャーをまとめて表示を高速化する機能
2014 年 2 月Fitted Mesh体形に合わせて衣装のサイズを可変することが出来る機能
2015 年 3 月Hover Control立っている高さを補正する機能

これまでの改良は、既存のアバターの基本構造であるスケルトンはそのままで…という感じだったのですが、今回はその基本構造にメスが入り、根本的でかつ大幅な拡張が行なわれました。


セカンドライフのアバターは、「ボーン」と呼ばれる人間の骨に該当する概念を持つオブジェクトを複数構成して作られた「スケルトン(骨格)」を動かして、アバターのボディーを変形させることで、歩いたり踊ったりといった動きを表現しています。

セカンドライフのボーンは、これまでは全身で 26 個ありました。

Bento 導入以前のアバターのボーン

これらのボーンは、人型のキャラクターを想定したものでした。


しかしセカンドライフのユーザーの間では、人型以外の形状のアバターも作りたいと思う人も多くて、ケモノなどの人型以外の様々なアバターが作られています。

そんなアバターの中には、標準のボーンでは動かす部分が足りないということで、“装着ポイントをボーンの代わりに利用する”という裏技を使って疑似的にボーンの数を増やすことで、複雑な動きを持ったアバターを実現しているものもありました。

ところが昨年、サーバー側でのアニメーションファイルの整合性チェックが強化された際に、この装着ポイントを使った裏技が使用出来なくなってしまいました。

リンデンラボとしてはそれを仕様にしたいと思っていたそうですが、そのままでは、これまでユーザーの間で作られてきた人型以外のアバターが今後作成出来なくなってしまうということで、ユーザーからは大きな反発が起きてしまいます。

[#BUG-10543] Mesh validation should permit rigging to attach points - Second Life Bug Tracker

そこでリンデンラボは、セカンドライフでのアバターの利用状況の調査を行ない、その結果、昨年末に発表したのが“Project Bento”です。

Introducing Project Bento - New Bones Added to Sec... - Second Life


Bento ではアバターのスケルトンを、これまでの人型限定のスケルトンから、様々なアバターに対応出来る形のスケルトンに変更が行われました。

その結果、ボーンの総数は 133 個まで増えました。

Bento でのアバターのボーン

ビュアーでの Bento のボーンの表示
(「開発メニュー」−「アバター」−「骨を表示」)

従来の基本ボーン 26 個はそのままで、新しいボーンが 107 個追加されています。

Bento で追加されたのは、下記のボーンです。

301本の指に3つのボーン×両手 10 本
頭、顔46
背骨4
羽根11
後ろ足9
尻尾6
足の付け根1
合計107

また、装着ポイントも 15 ヶ所追加されています。

Project Bento Skeleton Guide - Second Life Wiki
(2016 年 12 月 11 日現在、Wiki の内容は古い情報が混在してて間違っている個所があります)

これにより、人型のアバターはもちろん、動物や空想上の生き物など、様々なアバターが公式の機能で作成出来るようになりました。




これは、セカンドライフの歴史上、最大の進化です!^^/


Bento では、人型のアバターにも大きなメリットがあります。
それは、アバターの顔と手にボーンが入ったという点です。





セカンドライフのクラシックアバターの顔や手、ボイスチャット時の口の動き(リップシンク)は、これまでは“モーフィング(モーフ)”という手法でアニメーションが行われていました。

モーフィングは、あらかじめ用意された変化前と変化後の形状のメッシュの間を、頂点を移動させることでアニメーションさせる手法です。
セカンドライフでは、アバターの顔や手にモーフ用のアニメーションがあらかじめ“エモート”という形で用意されていて、それを通して状態を変化させることが出来ます。

クラシックアバターでの顔の表情のエモート

しかし、エモートでのアニメーションでは、顔や指の細かい表現を行なうことは出来ません。
また、モーフィングはクラシックアバター専用の機能で、メッシュ製のボディーには効果はありません。

そこで Bento では、顔や指の部分にボーンが追加され、メッシュ製のヘッドや手でも細かい動きの表現が自由に出来るようになりました。




また、追加されたボーンは容姿のスライダーにも(ほぼ)対応していますので、メッシュヘッドをシェイプに合わせて調整することが出来るようになりました。


Bento 対応のメッシュヘッドであれば、クラシックアバターのように、シェイプの調整で個性のある“違う顔”を作ることが出来ます!

クラシックアバターで表現可能なことがメッシュアバターでも出来るようになった!という点が、Bento の最大の特徴です。


もちろんこれらのボーンは、特定の目的専用のものという訳ではありません。

アバターの動きに必要のない余ったボーンを使って、衣装の動きやアバターの周りを飛び回るペットのようなものを、“ボーンアニメーション”を応用して作ることも出来ます。


アバターの可能性を大きく広げる可能性を持った新しい機能が、Bento です^^


Bento 対応のメッシュは、これまでの Rigged Mesh や Fitted Mesh と同様の方法で作ることが出来ます。

Bento 用のスケルトンファイルは、Second Life Wiki で配布が行われています。

Project Bento Testing - Second Life Wiki

現在は、
  • Collada
  • Maya(ma)
  • fbx
  • 3ds Max(max)
のファイルが用意されています。

ボーンの数が増えているだけで、Bento 対応の製品を作るために特別なソフトや機能は必要ありません。
素の Blender でも作成することが出来ます。

ただ、Bento ではボーンの数がものすごいことになっていますので、Avastar や MayaStar などを使われた方が作りやすいと思います^^

Avastar  : Machinimatrix
(Bento 対応の Avastar 2.0 は、現在アルファ版です)

Second Life Marketplace - MayaStar Liquid Mesh Templates


Bento 対応のアニメーションは、Bento のスケルトンに対応したアニメーションツールを使う必要があります。

セカンドライフのアニメーション作成で一般的に使われている「QAvimator」は、現在のところ Bento のスケルトンには対応していません。

QAvimator

現時点では、Bento のスケルトンファイルを扱うことが出来る Blender などの 3D ソフトで、Bento 対応のアニメーションを作成することが出来ます。
これらのソフトでは、これまでと同様の方法で Bento のボーンにアニメーションを付けることが出来ます。

アニメーションファイルは、Bento でもこれまで同様、BVH 形式または ANIM 形式に対応しています。

Bento ではボーンの数が増えていますので、アニメーションファイルのファイルサイズの制限は、これまでの 120KB から 250KB に緩和されています。

このファイルサイズは、セカンドライフでのアニメーションの内部フォーマット ANIM 形式に変換された際のものです。


ただし、ボーンを動かす処理は、3DCG では非常に重い処理になります。

そのため、Bento でボーンが増えたとは言っても、たくさんのボーンを同時に動かしてしまうとビュアーでの描画は重くなってしまいますので、その辺は注意が必要です。


現在のセカンドライフのアバターは全て、Bento によってスケルトンが拡張された状態になっています。

ただ、現在のクラシックアバターは Bento に対応した構造にはなっていませんので、そのままでは Bento で拡張されたボーンを利用することは出来ません。

Bento で拡張されたボーンは、Bento 対応製品でのみ使用することが出来ます。

Bento 非対応アニメBento 対応アニメ
クラシックアバター基本ボーンのみ基本ボーンのみ
クラシックアバター+Bento 対応製品基本ボーンのみクラシックアバター:基本ボーンのみ
Bento 対応製品:拡張ボーンまで
Bento 非対応メッシュアバター基本ボーンのみ基本ボーンのみ
Bento 非対応メッシュアバター+Bento 対応製品基本ボーンのみクラシックアバター:基本ボーンのみ
Bento 対応製品:拡張ボーンまで
Bento 対応メッシュアバター基本ボーンのみ拡張ボーンまで

一つのアバターで、Bento 対応製品と Bento 非対応製品を混在して使用することは出来ます。


Bento 対応製品は、通常の製品と同じように装着することで利用出来ます。
Bento 対応のビュアーであれば、ビュアーの設定などは必要ありません。

各ビュアーでの Bento 対応状況は、下記の通りです。

公式ビュアー
Black Dragonただしビュアー自体は、バージョン 2.5 で開発終了予定。
Cool VL
Firestorm現在対応中。開発者向けにアルファ版が限定公開。一般向けのベータ版は近日公開予定。
Alchemy×
UKanDo×
Kokua×
Catznip×
Restrained Love×
Singularity×
2016 年 12 月 11 日現在

Bento に対応していないビュアーでは、Bento 製品は正しく表示することは出来ません。
これは、Rigged Mesh が導入された時と同じような状況です。

セカンドライフで最も利用者が多いビュアーである Firestorm はまだ Bento には対応していませんので、現時点ではまだ、誰もが Bento のアバターを見れる状態にはなっていません。

Firestorm が Bento に対応したタイミングが、Bento の製品を常用しても大丈夫なタイミングになると思われます。

Firstrom での Bento 対応は、12 月 11 日の週または 18 日の週になるという話があります。
遅くとも今月中には Firestorm でも Bento が一般の人も利用可能になる感じのようですので、普段使いをされたいという方は、それまで待たれた方がいいと思います。

逆にお店の方は、それまでに Bento 対応を進めていく感じになると思います^^


Bento 対応ビュアーで Bento 対応の製品が正しく表示されない場合は、アバターを右クリックして出てくるメニューから「スケルトンをリセット」または「Reset Skeleton And Animations」を選択してください。


そうすると、ボーンやアニメーションの状態がリセットされて、正しく表示されるようになるはずです。


Bento で、セカンドライフのアバターは大きく進化しました。

メッシュアバターを購入しないと Bento の機能が最大限活用出来ないところはハードルが高いですけれど…、

他のゲームと比べても遜色ないアバターがセカンドライフでも利用出来るようになったというだけではなくて、顔や指などでの細かい表現を駆使することで、セカンドライフを本格的な映像制作のツールとして使うといった可能性を広げたところなど、素晴らしい魅力が満載だと思います。

ここまでセカンドライフで出来てしまうと、「もうサンサールはいらないんじゃない?」っと思ってしまいますけれどw、サンサールはこれ以上のことが出来るかもしれないですので、それはそれとして楽しみにしながら、セカンドライフでは Bento で楽しんでいきましょう!^^


バージョン 5.0.0 では、インスタントメッセージ(IM)でオフラインのユーザーにメッセージやオブジェクトを送信した際の下記のメッセージが日本語化されました。

「ユーザーがオンラインでありません - メッセージは保存され、後で配信されます。」
「ユーザーがオンラインでありません - インベントリが保存されました。」
Bento の翻訳作業が行なわれる際に、この部分も一緒に翻訳されたようです。

lindenlab / viewer-release   / コミット / 06d327a9f0aa — Bitbucket

日本語に対しても、こういった改善が行なわれているのはいいことですね^^


2017/2/7 日本語へのローカライズの情報を追加しました
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2 件のコメント:

  1. わかりやすい説明ありがとうございます

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    1. そう言っていただけるとうれしいです。ありがとうございます^^

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